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2010年7月20日 (火)

イケメン?俳優・五月女璃玖の事件ファイル - 呪いの歌殺人事件 #03

事の始まりは、中学の修学旅行で初めて東京に来た時のことであった。
幼馴染の繭美(まゆみ)と私服で原宿を歩いていた時、芸能事務所の男性にスカウトされた。
その時ジーンズを履いていたこともあってか、璃玖は何の疑いも無く少年だと思われていたようだった。
その事を事務所に着いてから必死で説明し、社長(女性)の前で半裸になって見せてようやく信じてもらえた程である。
少年のモデルを探していた男性スタッフは諦め顔だったが、社長は自信を持ってこう言い放ったのだ。
「あなた、男の子としてデビューしなさい」
社長の言い分(ぶん)によれば、今の若い男性タレントはどれも女々しくて面白味がない。むしろ元々女である璃玖のほうがかえって男らしくウケるのではないか、とのことだった。
結局、璃玖は中学校を卒業すると同時に上京し、女であることを伏せてモデルとしてデビューした。
それから間もなく、雑誌で璃玖を見かけたドラマの制作スタッフが「この子をドラマに使ってみたい」と言いだしたことを機に俳優業に進出。この春からはミステリドラマで主演の名探偵・冬月数真を演じ、あれよあれよと人気タレントの仲間入りとなってしまったのだった。
幸い璃玖は元々自分のことを「オレ」と呼ぶ人間だったし、繭美たち地元の知り合いにも快く理解してもらい口止めをしてもらっているため、璃玖が女であることは社長やマネージャーの漆原(うるしばら)モモコなど事務所の一部のスタッフしか知らないのである。

 

「で?次は何処に行くの?」
モモコの運転する車の後部座席から、璃玖が問いかける。手元には来週撮影分の台本が開かれている。
「次はねェ、サウンドフォレストよ」
「サウンドフォレスト…?」璃玖は台本から視線を上げて言う。「それって確か、レコード会社だよね?なんでオレがそんなトコに?」
「あれ?言ってなかったっけェ?今度璃玖ちゃん、CDデビューすることになったのよォ」
「…はあ?!」思わず運転席に身を乗り出す璃玖。「全っ然聞いてないんだけど?!」
「あー、ごっめェん」モモコは運転しながら璃玖に目配せして言う。「ちなみにデュエットだから。神城壱弥(かみしろいちや)クンと」
「神城って…あの頭悪そうな俳優の?」不満そうな顔でバックミラー越しにモモコを見る璃玖。
「頭悪そうって…ま、今からその神城クンと打ち合わせだから。よろしくねェ」
「…なんかイヤな予感しかしないんですケド」璃玖は小さく呟いた。

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