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2010年7月13日 (火)

イケメン?俳優・五月女璃玖の事件ファイル - 呪いの歌殺人事件 #02

「いやー、良かったわよォー、璃玖(りく)ちゃーん」
撮影スタジオの廊下をすたすたと歩く若い俳優と、後に続くそのマネージャー。背丈はマネージャーのほうがかなり高い。
「はいはい、ありがとモモコさん」
璃玖と呼ばれた俳優は振り向きもせず答える。
「情無(つれな)いわねェ、今日はなんかこう、いつもよりシュッとしてる感じがして、アタシは好きだったけどなァ」
「そう?オレはそうでもないけど。大体、停電になるほどの大嵐って設定なのに、決め台詞のタイミングだけ月明かりが差すなんて不自然じゃん」
「いやいや、それが名探偵・冬月数真(ふゆつきかずま)のお約束ってヤツじゃない」モモコと呼ばれたマネージャーはニコニコしながら言う。「それにほら、奥野蝶子(おくのちょうこ)だって璃玖ちゃんにベタボメしてたんだからァ」
「奥野…?ああ、あの被害者役のオバサンね」璃玖は自分の楽屋のドアに目を遣りながら、依然素っ気無く言う。
「そうよォ、何でも彼女、璃玖ちゃんの大ファンらしくってね」楽屋の鍵を開けながら言うモモコ。「今度プライベートで食事でも行きたいとまで言ってたんだから」
「カンベンしてよ」璃玖はモモコが開けたドアを入る。「オレ、そういう趣味ないから」
「もォ、この世界、お付き合いは大事なのよォ?」後に続いて楽屋に入るモモコ。
「でもモモコさんだって、オレに恋人とか出来たらマズイでしょ?」そう言うと璃玖は、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して口に運ぶ。
「そりゃ、アタシの璃玖ちゃんに手を出すヤツが出てきたら困っちゃうわよォ~」モモコは恥ずかしそうに顔を手で隠す。
「…それはマネージャーとしてって意味で受け取っといていいんだよね…?」ミネラルウォーターを冷蔵庫に戻しながら言う璃玖。「モモコさん、生物学上は一応男だし…」
「璃玖ちゃんリアクション薄すぎィ」頬を膨らませて言うモモコ。
「かわいコぶっても駄目だから」璃玖は呆れ顔で言う。「そうじゃなくて、オレに"彼氏"が出来たなんてバレたら、それこそマネージャーとしてマズイでしょって意味。ほら、オレ着替えるから」
「はいはい、分かってるって」モモコはそう言うと、楽屋からゆっくり出て行く。「部屋のすぐ外に居るから、終わったら呼んでね」
「うん」璃玖はモモコが扉を閉めたのを確認すると、徐にシャツのボタンに手をかける。
シャツの下から露(あら)われた若い肌には、白いブラジャーが纏われていた。

 
「あれだけ男勝りなのに、男に裸を見られるのはイヤだなんて…」
モモコは部屋の外で、周囲に聞こえない程の声で呟いた。
「やっぱり中身は歴(れっき)とした16の女の子なのよねェ…」

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